最安で1万円、高いランドセルは10万円?ランドセルの値段がこんなにも違う理由

ランドセルの平均価格は年々上昇傾向にあり、2010年頃には35,000円だったものが、2020年に53,600(日本ランドセル工業会実施アンケートより)とかなり割高になっています。

しかしランドセル価格は1万円台の低価格もあれば10万円を超える高級なものもあります。

一般的に高いランドセルは良い物で、安いランドセルは悪いといったことではないので、ランドセルを購入する際のポイントを説明します。

この記事を書いた人

30年間、全国の百貨店・専門店・量販店のランドセル企画販売に携わり、たくさんの商品を見てきたことや、多くの方に接客販売しその中でお子様に何が必要で何が不必要かを意識してきました。

メーカーも今の時代に合った品質・デザイン向上に注力していますがその反面、値段が高騰している現状があります。

ランドセルをいろんな場所のいろんな売り場へ行き、数多くの中から1つ選ぶことは大変難しい事だと思います。

安価なものから高価なものまで取り扱ってきた私なりの経験に基づいた考えを述べますのでご参考にして下さい。

ランドセルが高くなった理由

消費税UP

20005%、20158%、202010%と増えており単価の高いランドセルでは数千円単位で価格が上がってしまいます。

ランドセルの大型化による素材費・部材費の増加

ランドセルのサイズはA4対応サイズ→A4クリアファイル対応サイズ最近はA4フラットファイル対応サイズへとかなり大きくなりました。そしてマチ幅を大きくしたり(12㎝など)、上部のポケットをラウンドファスナー式にしたり、ランドセルの厚みも増えています。

※学校で扱う教材の大型化や量が増え何かあった時に両手で対処できるようサブバックなどを持たず、ランドセルの中に荷物を入れる習慣ができたからです。

教材の変化に伴いランドセルが大きくなりその分素材や補強材などの材料費が掛かっています。

素材の高騰

ランドセルの主な材料は本体素材です。

人工皮革は軽量化や対傷性・対摩耗性など品質改良による開発が行われ、天然皮革は牛革や馬革などの天然素材が入手困難になっているため価格が上がっています。メインの冠せ()部分は長さと幅が必要で、天然皮革の傷やシワの無い良品質素材を入手することは特に難しいです。

また、昨今の経済状況にある物価上昇もが大きく関わっています。

便利機能を搭載

最近のランドセルは、子どもの使い勝手や体への負担を軽減するために考えられたたくさんの機能が付いています。ワンタッチ式自動ロックやスライド可動式背カン、立ち上がり肩ベルト、反射材、肩ベルトのDカン(防犯ブサーを付ける)など。

刺繍、装飾品、金具などのデザイン

刺繍(光沢のある金糸、銀糸など高級糸)、装飾品(ラインストーンやビーズ、プレートなど)、金具(鋲・留め具などに高級材料アンティークゴールドやピンクゴールドなど)を使用しデザイン要素を取り入れると、費用が増します。特に女の子はデザイン性の高いランドセルを好む傾向があり、価格の高騰に繋がっています。

少子化による祖父母の孫に対する支出費用増

以前は孫が数人いたご家庭が多かったですが、少子化により1人の孫にかけられる金額が増たため、高額なランドセルでも購入するご家庭が増えています。今では、両家のおじいちゃん、おばあちゃんに親を含めた6ポケット(6)で高額ランドセルを購入するという考えがあります。

ブランド

ブランド名を使用するにはライセンス料発生しコストにプラスされます。また、ブランド元に許可が下りるデザインや製造が必要となり、制作コストが高くなる傾向があります。

今まで述べたランドセルが高くなった理由とは対象に安いランドセルの理由を説明します

便利機能備わっていない

  • 錠前と本体蓋の金具(サガリ)とを固定できる【ワンタッチ自動ロック】
  • 車などのライトが当たると光る【安心・安全設計の反射材】
  • 荷物の重さを軽減する【立ち上がり式肩ベルト】
  • ランドセルが背負いやすく下ろしやすい【スライド背カン】
  • 防犯ブサーを取り付ける【肩ベルトのDカン】
  • 負荷が掛かると外れる【安全ナスカン】 など

主流の仕様がない

  • 学校からの配布資料や荷物がたくさん入る【大型A4フラットファイル対応サイズ、大マチ12㎝など】
  • ロッカーへの出し入れや持ち運びに便利な【持ち手】
  • 大きく開き収納しやすく取り出しやすい【ラウンド式ファスナーポケット】
  • 本体のマチ部分など型崩れを防止する【補強材】

注意・・・絶対傷が付かなく壊れないランドセルはありません

見た目の高級感や強度が足りない

安く作る為には何かを削らなくてはなりません。難しい判断になるかもしれませんが基準としては、

安い生地を使用したり、薄くすると高級感がない

軽くするため生地を薄くする場合がありますが強度あってのランドセルです。今では生地も軽量化が進んでおり厚みがあり高級感のあるものを使うことが多いです。分かりやすく言うとランドセルが安価に見えます。

傷みやすい部分の補強が足りない

壊れやすい本体のマチ部分には型崩れ防止の補強材や、傷が付きやすい背裏側の四つ角には生地を充てます。

強度確認は一度ランドセルを上からや左右に押してみると分かりやすいです。

※確認で壊れてしまう商品は問題ですが、ご購入前なので破損しないよう慎重に確認して下さい。

商品チェックが出来ていない

糸が上手く処理できていないや、接着剤や汚れなどが付いていることがありえます。この場合、最終の検品チェックを怠っていると言えます。

アウトレット

アウトレット品のほとんどは、B級品ではなく基準を満たした正規品です。在庫過多か旧型でその在庫を無くす為、安価で販売することが増えてきています。

※充実した機能でお買得な商品ではあるが在庫のみに限定されることが多いです。

インターネット販売

通常の流通経路としては、

製造会社→卸問屋→販売会社(百貨店、専門店、量販店など)→お客様

インターネット販売は、

製造会社→販売会社(インターネット会社)→お客様

中間会社を省くため同一レベルの商品でも現状より抑えた販売価格で購入可能になります。

※商品を判断できる無料返品保証期間や使用後の修理保証の有無確認が必要

インターネット専用で作っている商品は店頭販売品より機能が充実してお得な商品があります。

まとめ

ランドセルの形状は大きく変化がありませんが、いろんなところが以前と比べて進化し続けています。しかし、入学当初の1年生は交通安全の黄色いランドセルカバー、その後は汚れや傷が付かないようにするカバーを冠せ()部分に付けることが多く、せっかくのランドセルデザインが分かりにくくなっています。また、低単価でも高単価と同じくらいの高品質、多機能のものもあり、ランドセル購入のポイントは必要な機能、仕様、丈夫さ、軽さ、デザインなど6年間を想定してどれだけ必要かでお考え下さい。

例えば製造会社の販売会で直接購入やインターネットでの購入を上手にご利用すればかなりの金額を節約できると思います。

しかし、一番重要なのは6年間という長い期間通学するお子様が気に入り、自分の体に合った背負い心地の良いランドセルを選ばれることが望ましいです。